高齢社会白書(平成29年版高齢社会白書「概要版」)によると超高齢社会を迎えて、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人、85歳以上では4人に1人が認知症になると推計されています。
認知症は早期発見でその進行を遅らせることが可能ですので、早めに気づき病院で診断を受けたいところです。
今回は認知症に早く気付くためのチェック方法をご紹介します。
目次
よく耳にする認知症。認知症とは、認知機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたす状態のことで、病名ではありません。認知機能の低下は、いろいろな原因で細胞が死んでしまったり、働きが悪くなることで様々な障害が起こります。
脳細胞が壊れることによって直接起こる症状を「中核症状」、本人の性格や環境、周りの人の接し方等が影響して出る症状を「行動・心理症状(BPSD)」といいます。
認知症は、原因によって症状のあらわれ方が異なります。代表的な3種の傾向をご紹介します。
【症状と特徴】
軽度の忘れ物から徐々に進行していきます。やがて時間や場所の感覚がなくなっていきます。
【症状と特徴】
現実にないものが見えてしまう幻視や、パーキンソン症状(動作がゆっくりになり、歩行などが不安定で難しい状態)などがみられます。
【症状と特徴】
小さな脳梗塞などが起こるごとに段階的に進行し、体にマヒが生じることもあります。
認知症は治らない、仕方ないと諦めていませんか?
物忘れや同じことを繰り返し尋ねるようになるなど、このような現象が高齢者にみられるようになると、早めに病院に行き医師の診断を受けることが先決です。
しかし、家庭でも認知症の疑いを予見できる検査方法があります。
認知症の早期発見に有効とされていて、実際の医療機関でも導入されています。
もし診断テストの結果が悪くても、必ずしも認知症であるというわけではありませんのでひとつの目安として考えましょう。
登場当時から現在までほぼ同じ内容で行われている最もポピュラーな認知症テストといえるでしょう。
設問は全9問
いくつかの設問があり、それらに対し正答が得られれば1点、間違いもしくは答えられなければ0点となります。採点の結果30点満点中20点以下の場合、認知症の可能性が高いと言えます。長谷川式認知症スケールの評価用紙、筆記用具、設問⑧で使用するアイテムが用意できればすぐに実施できます。
「一般社団法人認知症予防協会」によるテストで、WEBサイト上で気軽にできます。
全10問で、設問内容には図形を使っていることが特徴です。
長谷川式認知症スケールとならびよく使用される評価方法です。認知機能を測るための項目(算数、筆記、身近にある物の名前を言う、図形の模写)から質問を行い、その正解率を点数化して判断します。2018年の法改正により、保険適用がされるようになったため病院で手軽に検査することができるようになりました。
今回は認知症の主な症状やチェック方法についてご紹介しました。
WEBサイトにてチェックシートなども公開されていますので、心配な方はぜひ確認してみてください。
しかし、認知症の検査結果は高齢者の気持ちを傷つけてしまう場合もありますので、ご本人の合意の上で行ってください。
もし、結果が良くなかった場合は早急に医師の診断を受けることが重要です。
橋本珠美
2001年4月、株式会社ユメコムを起ち上げ、介護・福祉の法人マーケットを中心に、誰もが高齢社会を安心して過ごすためのコンサルティングを始める。
また「高齢者と高齢者を抱える現役世代」のための相談窓口「シニアサポートデスク」「ワーク&ケアヘルプライン」を運営し、高齢者やそのご家族の幅広いお悩み(介護・相続・すまいなど)にお応えしている。
相談窓口の事例と自身の経験(ダブルケア)を取り入れたセミナー活動は好評を得ている。
株式会社ユメコム(https://www.yumecom.com)